私を知る旅の語り部
Daso Sufiです。
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失われたことば
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失われた言葉というのは
東洋の神秘家の間に長きにわたって存在してきた象徴的な語句です。
この特別な問題を理解しようとして、
数多くの霊的で神秘的な教団が形成されてきました。
しかし、実際には、問題を解いた人はみな、その後、
それについて、めったに口を開きません。
東洋の古代の物語は、
神秘の壁が存在していたことを教えます。
壁を登って向こう側をのぞこうとした者はみな、
ほほえんで向こうに飛び降り、
二度とこちらに帰ってこないのです。
そこで、土地の人々は壁の向こうに、
一体どんな神秘があるのか、
とても好奇心をいだきました。
ある日、1人の男が壁の向こうに
何があるのか見るために登ろうとしたとき、
人々は反対側に飛び降りないように彼の足に鎖をつけておきました。
さて、向こう側をのぞいたとき、
彼もまた自分の見たものに歓喜し、ほほえみを浮かべました。
壁の下に立っている人々は、
彼が何を言うのか知りたくて元に引き戻しました。
しかし、人々のひどく失望したことに、
当の本人は言葉を失ってしまったのです。
音の神秘
ハズラト・イナーヤト・ハーン著
土取 利行 訳
平河出版社刊
Ⅲ.ことばの力/6.失われたことば
より抜粋させていただきました。