雪を見ると
思い出します。
彼が息を引き取った
あの日を
3月だと言うのに
白いものが
空から落ちてきて
風に舞ったのです。
窓に張り付く
白い結晶の
ひとつひとつを
指でなぞりながら
やっと
彼の魂が
解き放たれたことを
知ったのです。
もう寂しくはなかったし
悲しむのも違う
と
わかっていた。
頭も
こころも
からだも
雪の結晶のように
溶けていくのでした。